11人が本棚に入れています
本棚に追加
母親達は、渋々といった様子で納得する。俺は夢吾の母親に向かって頭を下げた。
「久間さん。ご心配をおかけして、すみませんでした!」
「利人君……」
顔を上げたら、泣いてしまいそうで。なかなか頭を上げられない。そんな俺に、夢吾の母親は優しく声をかけてくれた。
「利人君、頭を上げて? 夢吾だって、気持ちは……同じなんだから……」
「はいっ‼」
力強く答え、頭を上げる。そして、夢吾を真っ直ぐに見つめた。気持ちは変わらないよと、目で伝える。夢吾の目には明るさが戻っていた。
小さく咳払いをしたあと、椎名先生が呟く。
「くれぐれも。高校生らしい、付き合いをするように」
俺と夢吾は、苦笑いするだけだった。
それぞれの母親と先生達との話し合いも無事に終わり、学校は、そのまま続ける。そして、二人きりでの行動は控える。そう決まった。
行動を制限されるのは嫌だったけれど、夢吾との事は、自分の意思では止められないと、わかっている。
もう一度、あの日のように、触れ合ってしまったら。重なり合う唇は、離れる事を許さないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!