椎名先生

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 母親達は、渋々といった様子で納得する。俺は夢吾の母親に向かって頭を下げた。 「久間さん。ご心配をおかけして、すみませんでした!」 「利人君……」  顔を上げたら、泣いてしまいそうで。なかなか頭を上げられない。そんな俺に、夢吾の母親は優しく声をかけてくれた。 「利人君、頭を上げて? 夢吾だって、気持ちは……同じなんだから……」 「はいっ‼」  力強く答え、頭を上げる。そして、夢吾を真っ直ぐに見つめた。気持ちは変わらないよと、目で伝える。夢吾の目には明るさが戻っていた。  小さく咳払いをしたあと、椎名先生が呟く。 「くれぐれも。高校生らしい(・・・)、付き合いをするように」  俺と夢吾は、苦笑いするだけだった。  それぞれの母親と先生達との話し合いも無事に終わり、学校は、そのまま続ける。そして、二人きりでの行動は控える。そう決まった。  行動を制限されるのは嫌だったけれど、夢吾との事は、自分の意思では止められないと、わかっている。  もう一度、あの日のように、触れ合ってしまったら。重なり合う唇は、離れる事を許さないだろう。
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