頼れる大人達

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頼れる大人達

 なんだか、そわそわする。親にバレた事。親や先生達の前で、夢吾が好きだと宣言したこと。  そして、明日からの陸上部の事も……。 「荒瀬くん達の味方は、椎名先生だけじゃないからね?」  若石先生が、笑顔で言う。新米の先生だから、頼りないなんて言われているけれど。若石先生にも、色々と助けられた。 「はい。ありがとうございます」 「荒瀬君も、久間君も、素直で良い子ね。わたしは、まだまだ頼りない新米教師だけど。いつでも、頼ってね?」 「……はい」  今、すごく穏やかな気持ち。もっと早く素直になって、先生達に相談すれば良かったな。『友達』の言葉に縛られず。  夢吾が半歩横を歩く。そして聞こえるか、聞こえないかの小さな声で囁いた。 「さっきは、ありがとう……」  夢吾の顔は、仄かに赤くなっている。俺は照れくさくなって、夢吾の背中をバシッと叩いた。
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