11人が本棚に入れています
本棚に追加
頼れる大人達
なんだか、そわそわする。親にバレた事。親や先生達の前で、夢吾が好きだと宣言したこと。
そして、明日からの陸上部の事も……。
「荒瀬くん達の味方は、椎名先生だけじゃないからね?」
若石先生が、笑顔で言う。新米の先生だから、頼りないなんて言われているけれど。若石先生にも、色々と助けられた。
「はい。ありがとうございます」
「荒瀬君も、久間君も、素直で良い子ね。わたしは、まだまだ頼りない新米教師だけど。いつでも、頼ってね?」
「……はい」
今、すごく穏やかな気持ち。もっと早く素直になって、先生達に相談すれば良かったな。『友達』の言葉に縛られず。
夢吾が半歩横を歩く。そして聞こえるか、聞こえないかの小さな声で囁いた。
「さっきは、ありがとう……」
夢吾の顔は、仄かに赤くなっている。俺は照れくさくなって、夢吾の背中をバシッと叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!