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 ──当たり前だよ。  毎日、僕の目の前で久保田さんに近付こうとする女性社員が何人いると思ってるの。  さっきなんて、突然とはいえ元カノさんを見ちゃったんだよ。  思い出すとまた嫌な気分になっちゃうくらいだから、これは…ヤキモチなんだと思う。 「……元カノさん、見たくなかった…」 「あぁ、さっきのか。 急にトイレ行くって言い出したの、もしかしてヤキモチ焼いてた?」 「はい……、多分…」  僕の胸元にちゅ、ちゅ、と唇の愛撫を降らせてくる久保田さんの動きが止まる。  欲に濡れた瞳がいやらしくて素敵で、昂る自身の体を少しだけ捩った。  ヤキモチ焼いてたって白状するの、なんか照れる…。 「あいつに嫉妬なんかしなくていいよ。 あいつと俺が付き合っていた事はない」 「え…!? で、でも、久保田さんの事、元カレだって…!」 「隣に居た女友達の事が好きなんだよ、あいつは。 地元に居る頃から俺はよくダミーに使われてた。 同類だって知られてから遠慮が無くなったよ」 「……ダミー…っ?」 「そう。 ヤキモチ焼かせたいんだと」 「…………っ??」  ど、どういう事……!?  そんなの、僕にはまるで理解できない危険な大人の駆け引きだ。  久保田さんの表情も、僕の驚きが決して間違ってないと分からせてくれる。  素肌に感じていた熱が離れていくと、僕の頭を撫でた久保田さんは、自らの大きなそれを穴にあてがいながら苦笑した。 「な、分からない感覚だよな。 俺は嫉妬なんてしたくもされたくもない。 ただただ平和に未南を愛していたい」 「んんん───っ! 久保田さん…っ」  ぐちゅっという粘膜音と同時に、物凄い質量のものが押し入ってきた。  毎回毎回、久保田さんは挿入する時に「好き」「愛してる」って囁いてくれるから、喜びで脳内が麻痺してもっと感じるようになる。  奥へと進んでくる毎に、背中に回した腕に力が入って…また、爪痕を残してしまいそうだ。 「未南、愛してるよ」 「あっ…ぁ、…ぼ、僕も、愛しています…っ」 「今夜は止まらないかもしれないな」 「……っ…!」  久保田さんは本当に、嬉しそうだった。  僕に触れる指先も、巧みな腰使いも、「愛してる」の囁きも、今日は特に愛に満ちている気がする。  こんなに簡単な事だなんて知らなかった。  臆して正直になれなくて、僕は恋人と取りたくもない距離を取って不安を与えてしまってた。  気持ちを伝えるって簡単だけど難しい。  だけど、大好きな相手にはちゃんと伝えなきゃダメなんだ。 「愛してる、未南。 愛してる」  朦朧とする意識の中、愛が止まらない久保田さんに、笑みが溢れたのを覚えている。  僕は今日、改めて、久保田さんと本当の恋人になれた気がした。 ● 終 ●
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