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 乱れてるのがいいからって、浴衣を脱がせてもらえなかった。  はだけた裾の隙間から忍び込んでくる手のひらが、恥ずかしくて顔を背ける僕の中心部を、やわやわと刺激してくる。  首筋に何度もキスを落としてきながらの優しい愛撫に、シーツを握る僕の指先に力が入った。 「んっ……久保田さん、…っ」 「もうイきそう?」 「は、い…っ、」  小さく頷くと、見惚れるほど温かくふわりと微笑まれて、心臓が高鳴った。  ドキドキが止まらない。  久保田さんの唇が僕の神経をおかしくさせてる。  見慣れた室内と、何度も交わったこの広いベッドの上で、浴衣姿の僕と久保田さんは初めての時みたいに緊張感を漂わせていた。  僕だって余裕なんかない。 少しも。 「んぁっ、っ……ダメ、ダメ、……っ」  僕がイっちゃいそうだって分かってから、久保田さんの扱く手付きが早くなった。  追い立てられて、膝が笑う。  喉を仰け反らせて息を殺す僕を見詰めてくる視線が、今日は一段と熱を帯びている気がして恥ずかしかった。  何も考えられなくなってしまうから、お願い、…そんなに見ないで──。 「一回イきたい? 我慢する? というか我慢してくれないか?」  もうすぐにでも出ちゃいそうで、腰が浮いてしまってた僕に久保田さんが意地悪な問いをしてきた。 「…ん……え、っ? やだ…我慢、でき…ない…!」 「俺も、なんだけどな」 「……っ…」 「一緒にイこ。 我慢した分だけ最高の絶頂を味わえるぞ」 「んやっ…やっ、…う、そ……っ?」  久保田さんはそう言うと、扱く手を止めてローションを手に取った。  嬉しそうに穴をくちゅくちゅと音を鳴らして解し始め、慣れた手付きで僕のいいところを擦り上げていく。  ピンポイントでそこを擦られる度に、我慢を強いられた僕のものからピュッと何かが溢れてお腹が汚れた。 「未南、俺の事好きか?」 「……っんんっ…! 好き、好きです…! 久保田さ、ん…っ」 「………嬉しいな」  指を増やして中を掻き回しながら、久保田さんは心からの微笑を浮かべていて切なくなった。  ずっと、聞きたかったのかもしれない。  なんで好きって言ってくれないんだって。  そうやって僕を問い詰める事は簡単だけど、それをしなかった久保田さんの優しさに僕の目尻から涙が溢れた。  待っててくれたんだ、僕が自分の気持ちを話せるようになる日がくるまで。 「ごめ、なさい…っ、久保田さん、僕…っ」 「謝るなって言っただろ。 未南が俺を好きでいてくれて、ちゃんと思ってる事も話してくれるなら、これからは嫉妬も控えるよ」 「それを言うなら、僕だって……!」 「うん? 未南も嫉妬してるのか?」  ほっぺたに口付けて笑む久保田さんは、どことなく嬉しそうだ。
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