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食で幸福にするレストラン
廣田弘一、31歳、独身。仕事帰りに歩いている時に、
「疲れた~。」
と呟いた。
「仕事がだるかったなぁ。」 そして、彼はふと思った。
(けど、いつも同じ道じゃつまらないな。)
「偶には、別の道で帰るとするか。」
彼は珍しく別の道を歩いた。
少し歩いていると、見たこともない街に出くわした。
「こんな街があったんだ。」
彼は驚いた。少し古びた所であるが、何処か懐かしい町だった。
それで少し歩いていると、1軒の料理屋さんがあった。店の名は『福波金』。
「ふくばきん?なんか変わった名前だな。」
そして、彼の腹はタイミングよく鳴った。
「よし、食べるか。」
廣田はその店に入った。
「いらっしゃいませ~。」
店主らしきおじさんが温かく迎えてくれた。
「メニューは?」
廣田が聞くと、
「ここです。」
おじさんが説明してくれた。そこには様々な料理があった。しかし、彼は丁度食べたかった、
「このチキンカレーを。」
と頼んだ。そして、注文の品が来た。匂いは勿論カレーの匂いで、食欲をそそられた。
「美味しそうだなぁ。いただきます。」
一口目を食べた。
「う~ん。」
至福だった。今まで味わったことのない味だった。カレーでこんなに幸せな気持ちになれるとは思わなかった。
「美味しい。」
チキンは香ばしく、具一つ一つの大きさが口に入れるのに丁度良く、それぞれの具とルーが最高の状態になっていた。彼はどんどんパクパク食べた。
「このカレー美味しいですねぇ。」
彼は感謝の気持ちでおじさんに言うと、
「ありがとうございます。」
おじさんはニコニコしながら言った。
カレーを全て完食し、彼が勘定は?と言うと、
「へぇ、400円です。」
おじさんはニコニコと答えた。
「安いですね。」
廣田はビックリしながら言うと、
「はい、もう必要なものは既に貰いましたから。」
廣田は、?となったが、安かったので、支払い出ていった。
暫くして、彼はその店を忘れられず、また行ってみた。しかし、以前行ったような街は見当たらず、そこはただの町だった。
「あれ?あの街は・・・。」
彼はキョロキョロ見たが、普通の風景だった。
実はこのお店。疲れた時や、美味しい料理を食べたい時に現れて、人を食べ物で幸せにするレストランである。
そういう時でないと現れない不思議なお店。
もしかしたら、貴方が疲れたて、ご飯で幸せになりたい時貴方の町にもその不思議の至福なレストランが現れるかもしれない。
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