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面接試験
私は白いブラウスに紺のスーツ、紺色の膝丈のタイトスカートを履いて、バスティーユ株式会社を目指す。
場所はネットで調べてある。問題ない。業務内容も頭の中に入れてある。イベントの企画・運営をメインに、イベントを実施するために必要な物品の販売やレンタルも行っている。
アパートから駅まで二十分ほど歩き、地下鉄に三十分くらい乗り、駅から歩いて十分のところに会社はあった。
大きい会社だ……。
目の前に聳え建つ十数階建ての建物が、バスティーユ株式会社……。
それなりの規模の会社を前にして、緊張感が走り抜ける。就職試験を何度も受けているのに、何故か緊張をしてしまう。
表情を引き締め、入口の前に立つ。自動ドアが開き、私を向かい入れてくれる。正面に受付があり、声をかける。受付の女性は直ぐに連絡を入れ、担当の刃矢菜さんを呼び出してくれた。
刃矢菜さんらしき女性がエレベーターから現れた。
面長で、クールな感じの美しい人。目つきに鋭さを感じるけど、顔立ちは整っていて、目鼻立ちはしっかりしている。身長は百七十くらいあり、モデルのようなスタイルだ。
刃矢菜さんを目の前にして、圧倒されてしまう。
「貴方がお電話して下さった風花さん。私が担当の刃矢菜です。今日はよろしくお願いします」
「はっ、はい!よろしくお願いします」
身体が少し震えているけど、何とか笑顔を取り繕い、握手を交わした。
刃矢菜さんと一緒にエレベーターに乗る。
「そんなに緊張していたら、何も出来ないで終わってしまうわよ。リラックスしましょう」
刃矢菜さんが笑みを浮かべて、話しかけてくれた。緊張感で張り詰めている状態が、表情に出ているのだろう。ただ、返事をするだけで、終わってしまう。
「こちらになります。そちらに御掛けになってお待ちください」
エレベーターを出て、刃矢菜さんに案内された部屋へと入り、ソファーに腰を下ろす。部屋は白一色。まるで病院みたい……。
緊張感が再び走り出し、両手が汗に濡れ、両手を組んで、両脚の上に置く。沈黙の時間が流れる。張り詰めた空気感が肌に突き刺さって、ピリピリしてくる。高まり続ける緊張感。身体が強張ってくる。
速く面接が始まらないかな……。
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