試練の始まり

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試練の始まり

   私は社長の目の前で制服に着替えると言う、通常ではあり得ない入社式を経験し、常に社長の指示に怯えながらの日々となった。  しかし、社長からの指示に変な内容のものはなく、平穏な日々をすごしていた。平穏と言うよりかは、満たされた日々なのかもしれない。  仕事の内容は社長と行動を共にしているので、一日が机を前にして終わると言う事は滅多にない。それに、イベント関連の仕事なので、芸能人に会える時もある。私の好きな芸能人だった時は、同席までさせてくれた。滅多に出来ない経験だ。  ただ、社長からはプライベート上での指示があった。それは、週四回は社長の指示したジムに行くことだった。 「風花さんはスタイルが良いから、維持して欲しいな。このジムに通ってもらいたい」  と言われた……。  しかも、ジムに通うお金は社長の負担。ジムでは常に指導者がついてくれる。  社長からスタイルが良いって言われたけど……。  スタイルなら刃矢菜さんの方が、遥かに良いと思うけど……。  それにしても、この制服はどうにかならないのかな。身体にフィットしているのには慣れたけど、この短いスカートは変えて貰いたい。  歩く時に、揺れる太ももを皆に見られるのは嫌だな……。  仕事を終え、ジムに行く。週に四回行かなければならないので、ほぼ毎日、通っている感じだ。  指導者の方は優しく指導してくれるので全く問題は無い。どちらと言うと、楽しい時間を過ごせている。最初は一時間もいなかったけど、今は二時間くらいジムで身体を動かしている時もあるくらいだ。  ジムでのトレーニングを終え、シャワーを浴び、楽な服装に着替え、部屋に戻ろうとした時、スマフォが鳴り響く。  社長からだった。  至急、会社に戻って欲しいとのことだった。  分かっている……。  社長の指示は、勤務内外であろうと絶対……。  
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