その日、タカジは出会ってしまった

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奴は、構えもせずに突っ立っている。 俺は踏み込んで、左右の直突きを出した。奴は少し退く。俺は一歩踏み出して右追い突きで奴の顔面を打った。 その顔がフッと消えて、腹に丸太で殴られたような衝激を受けた。思わず腰を曲げうつむくと、右足を払いながら背中を腕で叩かれた。俺はたまらず地面に両手をついた。 「鳳凰展翔から二郎坦山。呉氏開門八極拳の技や」 「いつ覚えたんやそんな技」 「最近、夜のサッカー場で練習してた人に教わったんや」 スキンヘッドと生っ白い奴が、そんな会話を俺の頭の上でしている。俺の事など歯牙にもかけてないって感じだ。 こんなに舐められて、ガマン出来るか! 俺は膝をついたままで、スキンヘッドの足を掴みに行ったが、あっさりとかわされた。俺はその隙に立ち上がって体勢を整えた。 「お前だけには負けられねえ!」
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