0人が本棚に入れています
本棚に追加
奴は、構えもせずに突っ立っている。
俺は踏み込んで、左右の直突きを出した。奴は少し退く。俺は一歩踏み出して右追い突きで奴の顔面を打った。
その顔がフッと消えて、腹に丸太で殴られたような衝激を受けた。思わず腰を曲げうつむくと、右足を払いながら背中を腕で叩かれた。俺はたまらず地面に両手をついた。
「鳳凰展翔から二郎坦山。呉氏開門八極拳の技や」
「いつ覚えたんやそんな技」
「最近、夜のサッカー場で練習してた人に教わったんや」
スキンヘッドと生っ白い奴が、そんな会話を俺の頭の上でしている。俺の事など歯牙にもかけてないって感じだ。
こんなに舐められて、ガマン出来るか!
俺は膝をついたままで、スキンヘッドの足を掴みに行ったが、あっさりとかわされた。俺はその隙に立ち上がって体勢を整えた。
「お前だけには負けられねえ!」
最初のコメントを投稿しよう!