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俺は吠えながら左で顔面を突いた。奴は頭を傾けてかわした。俺は突いた手を引かず、奴のシャツを掴んだ。右でも掴んで首相撲からの膝を狙った。
次の瞬間、俺の腕の中で奴の体が弾けるように動き、俺は鳩尾(みぞおち)に強烈な打撃を受けた。息が出来なくなり、悶絶しながらその場に踞ってしまった。どうやら肘を食らったらしい。
「八極拳の両儀肘を寸勁で使ってみたんやけど、思ったより効いたみたいや」
「やり過ぎたらあかんで」
二人に言われても、言い返す余裕もなかった。
「タカジさん、彼女があなたの好みなのは判りましたが、彼女にも相手を選ぶ権利がありますよ」
スキンヘッドがそう言うと、女は生っ白い奴の背中で大きく頷いた。
「残念ですが、今のあなたには一分の目もありません。何が駄目なのか、よく考えて下さい」
スキンヘッドはそう言い残して、女と生っ白い奴と共に立ち去った。
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