3人が本棚に入れています
本棚に追加
悪夢の再来
数日後、大学は夏休みに入り、俺と田中は自由な時間を満喫していた。
大学で。
今俺たちが居るのはサークルの部室だ。
と言ってもこの部室は少し前まで研究室として使われてたため、ネットも使えるし、冷蔵庫もある。
クーラーで快適温度に室内を冷やして、椅子に深く腰をかけ、グラスに注いだコーラを飲む。
「これぞまさに至福の時…」
口うるさい親もいないし、居心地が良いため、俺たちは休みでも大学に来ては持ち込んだPCでネットサーフィンをしたり、ネトゲしたり、
時には携帯ゲーム機、スマホゲー等で遊んでいる。
このサークルは、『近代ゲーム研究サークル』という名前で活動しているのだった。
「おい雄大。俺がこの前ここに入れたプリンが無くなってるんだが、心当たりあるよな?」
田中が冷蔵庫を開けて何か言ってる。
俺を疑ってるのか。まったく、人聞きの悪い。
「あー、あれなー。あれは…えーと、美沙にあげたよ。」
俺はPCで作業をしていたので、適当に答える。
もちろん嘘だ。俺が食べた。
「美沙ちゃんに?…なら、しょうがないな。
あの"ラムネシュワシュワオーシャンブループリン"は期間限定品で、もう二度とお目にかかることは無いのだが、美沙ちゃんにあげたのなら仕方ない。うんうん。」
やっべ。バレたらタダじゃすまんな。
だが、御察しの通り、田中はあのバカ美沙のことが好きだ。
美沙の名前を出しておけば、あいつは美沙のことで頭がいっぱいになるから、冷静さを失う。
俺の嘘にだって気づいていない。
ちょろいもんだぜ。
最初のコメントを投稿しよう!