悪夢の再来

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「あーあ…でも食べたかったなぁ。奮発して10個買って、大事に食べてたんだけど、あれは最後の1個で、試験の後に自分へのご褒美として、ゆっくり味わって食べようと思っていたのに…」 うじうじと田中が独り言を言っている。 プリン1個で、面倒くさいやつだな。 「無いんだからしょうがないだろ。他のプリンで我慢しろよ。」 俺は言った。 「あのなぁ。お前には分からんだろうが、あれは本当に俺の中で貴重なプリンだったんだよ…ってあれ?お前さっきから何してんの?」 田中は俺のPCを覗き込む 「"夢田あいりのファン感謝祭2020"についてのレポート…?なんだこりゃあ。」 田中が不思議そうにPC画面と俺の顔を交互に見る。 「田中、これはな。あの素晴らしいav女優の夢田あいりさんの為のレポートさ。久々の大作として期待を呼んでいたあの"夢田あいりのファン感謝祭2020"だが、出来があまりに酷かったので、キャスト、ストーリー、映像、カメラのアングル、セリフ、衣装、脱がすタイミング、キスの回数…(以下18禁のため略) …あらゆる観点から改良の余地を考察し、次の新作の出来を向上させる為のものだ!」 俺は熱く語った。 「お、おう…頑張れよ。」 俺の情熱に田中は若干腰が引けたようだ。 まぁ、無理もない。ここまでエロコンテンツ業界において、達観した目を持っている人間は、ごく稀だからな。 「それでだな…実際の作品がここにダウンロードしてある。どこが悪いのか俺がひとつひとつ説明してやろう。」 俺は動画の再生ボタンを押した。 田中は興味津々に見ている。こいつは俺と同じでエロいことに目がない。 「ほほう…やはりここの体位が…」 「そうだろう、もっとこうした方が…」 俺たちのエロ談義は静かに盛り上がった。
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