悪夢の再来

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「はっ…!」 俺は気を失っていたようだ。 体は…無事か……よかった。 俺はサークル室の床に伸びていたみたいだ。 あのまま四肢を斬り裂かれて磔にされるかと思った。あの女ならやりかねない。 そういえば、田中はどうしたんだ? …いた。サークル室の奥にあるソファの上に寝かされていた。時折唸っているようだった。 まだ悪夢を見ているのか…田中。 なにかカタカタと音が聞こえる。この音は、 美沙だ。 って、俺のPCをいじってやがる!!!! 「おい、美沙!何してるんだ!?」 「何って、消してやったのよ。あんたにとって、必要のないもの。」 俺は美沙からPCとマウスを引ったくって、例の動画を確認する。 が、そこにはデータが存在しなかった。 俺が長い時間をかけて収集してきた過去の傑作の数々も消えている。 「く、くそっ!!守れなかったか…」 しかし、命があるだけマシか…今回なくなったものはまた収集すれば良い。 しばらく悔しさでうつむいていたが、ふと、美沙に目線を移すと、顔が赤くなっている。 あれ? 「どうしたんだ?美沙。」 と声をかける 美沙はハッとしたようにそっぽ向いた。 「なっ!なんでもないわよ! ……… やっぱり、雄大は大きい方が好きなんだ…」 「ん?何か言ったか?」 最後の方が、よく聞こえなかった。 「い、良いの、気にしないで。」 なんかおとなしいな?もう怒ってないのか?
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