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開かないドア
「え、なにこれ…どうなってるのよ!」
美沙が必死でドアを開こうとしているが、ビクともしないようだった。
まさか。
俺はさっきよりも強く、血の気が引いて行く感覚を味わっていた。
これは普通じゃない。何となくわかる"違和感"だ。
そして、試験当日ふと思い出した、"危機感"が、今まさに迫って来ているようだった。
「鍵を閉めたんじゃないのか?」
田中が意外と冷静に指摘する。
「鍵は閉まっていないわ。今、加奈子が入ってきて、誰も閉めていないもの。」
と、美沙が言う。
確かに鍵は閉まっていないようだった。
閉まっていればドアノブの上にあるツマミが横になっているはずだが、今は縦だ。
これでドアノブを時計回りに回して、ドアを押せば簡単に開くはずだ。
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