昔あったこと

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昔あったこと

「「「カンパーイ!!!」」」 ビールが並々と注がれたジョッキを高々と上げて、俺たちは試験から解放された嬉しさを表現するように声をあげた。 20歳になってそこまで経っていないが、"行きつけ"と呼んでいいほど通っている居酒屋(2,3回くらいだけど)に来ていた。 「いやー!ようやく終わったぜ!どうする?夏休み!どうする?どっか行っちゃう???」 飲めもしないビールをいきなりがぶ飲みした"田中"はテンション高めに喋り出す。 こいつ、遊びに行く場所とか計画とか面倒なことは一切やらないくせに、どこか行きたいアピールだけは凄いんだよなぁ… 「海とか良いよね!私、去年行けなかったから、遠くの綺麗な海!行きたい!」 意外と田中の話にノリノリなのは "西奈美沙"だ。結局俺と同じ大学に入って、いよいよ俺との関係も"腐れ縁"そのものになってきた。 美沙は俺と田中とは学部も違い、大学に入ってすぐの頃は合コンによく行ってたらしく、絡みも少なかったが、結局俺たちと居るのが落ち着くとか楽とか言って、酒が飲めるようになってからというもの、このグループに入り浸っている。 「海かぁ…水着、新しいの買わないといけないかな…美沙、一緒に買いに行かない?1人で行くの、なんか恥ずかしいというか…」 そしてこの天使が、"大橋加奈子"ちゃんだ。 まさか同じ大学に通えるなんて思わなかったが、美沙が行くと分かって、入ると決めたらしい。そこだけはこのバカ美沙に感謝するべきところではあるかな。
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