昔あったこと

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加奈子ちゃんはそんなやりとりを見てクスクスと笑っていた。 こういうところも美沙とは大違い。控えめでおしとやかで心優しい加奈子ちゃんは、ほんわかした雰囲気で「可愛い」意外の言葉が見つからない程に可愛い女の子だ。 俺には勿体ないとは分かっていながらも、もし良ければ、お付き合いして、1,2年くらいでプロポーズして、結婚式はハワイで挙げて、ハネムーンはヨーロッパで、子供は3人とか産まれちゃって…マイホームも建てて… 「おーい、おーい…戻ってこーい」 田中が俺の顔の前で手を振っている 「はっ!! 定年を迎えて山奥の家で2人慎ましく暮らし続けるところだった!!」 俺は現実世界に戻ってきたみたいだ。 「何年越しの妄想だよそれ…」 田中は大きくため息をついた。 ああ、幸せだった。あんな夢の中でなら、死んでも良いかも、俺。
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