昔あったこと

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「雄大、最近ぼーっとしてること多いぞ。もしかして、昔あったことか?やっぱり」 田中が言った途端、美沙と加奈子ちゃんも話をピタリとやめて、静まり返った。 「い、いや…そのことでは…無いよ。」 俺は否定する。だが、明らかにそのことを引きずっているように見えるだろうな。これ。 加奈子ちゃんも、うつむいている。 あのことがあって俺と加奈子ちゃんの距離も縮まったのだが、実際その時のことを思い出すと、嫌な気持ちになるのだろう。 重い沈黙を破ったのは、美沙だった。 「まぁ、仕方ないよ、あんなことなかなか無いんだし。人生に一度あるかないかでしょ?もう、私たち大学生なんだよ?いつまでも気にしない!ほら、忘れよ忘れよ!」 美沙は俺の肩を強めにパンッと叩いた。 美沙、変わったな。高校の時はツンツンしてて、機嫌悪い時は俺が何言っても凄い勢いでまくし立ててきたけど、最近は優しさを感じる時がある。大人になったのかな。 いや、"昔あったこと"にいつまでもこだわってる俺が子供なだけか…
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