まだやり残した事

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まだやり残した事

中学校を卒業し、それなりの進学校に進んだ。 彼は思いもよなぬことが起きた。 世代を越えて恋をしたのだ。 彼女は控えめで、優しく、芯のある娘だった。 「まさか、儂が女を好きになるとは・・・。」 恋なんてほとんどしたことない小山。自分で自分が信じられなかった。 どうも知能以外はすべて若くなっておるな、と改めて思った。 しかし、恋は敗れ、そして持ち前の頭脳で宇宙関係の大学に進んだ。 この時代はもう宇宙エレベーターに必要な強固の材料が出来そうな時代にさしかかっていた。 既にテレビは3Dで見る時代になっていた。 「改めて科学進歩は凄いのう。」 小山は既に160歳を迎えていた。 さて、無事JAXAに進んだ。 そけで、宇宙関係の仕事をして、ロケットの研究に着手した。主に、空気における流体の研究である。そしてそこで、職場恋愛をし、結婚をした。 無事結婚した妻には子供が2人出来た後、自分は幼児化した事とか、いままでの経緯を話した。 最初は妻は驚いたが、妻にネズミの実験を見せて、証明させた。 その後、子はすくすく育ち、立派に成長した。 小山は宇宙の仕事もし、子供も立派に育て上げ、孫にも恵まれ、今度こそ悔いは残らないはずだった。 ある時、小学3年生の孫が泣きながら帰ってきた。 「おじいちゃん。」 「どうした?」 「学校でいじめられた。」 小山はビックリした。そして、かつて3度目の中学時代を思い出した。 「そういえば、儂は教育にも着手しようと思っていたのじゃ。」 その事を思い出し、急に人生を引き返したくなった。 齢220歳。外見年齢70歳。もうこの年では何も出来ない。小山、もう一度のチャレンジである。 「まだ、儂は死ぬわけにはいかない。」 自身の孫に対して、 「よし、お前の孫の代で教育の改革を行う。」 孫は、?となった。 そして、家族に話し、反対を押し切った。 「よいか。儂はまた身体を縮める。孝(息子)。儂の保護者になってくれ。」 小山の息子に対する最初で最後の願いだった。 「はぁ、分かったよ。父さん。」 そして、小山は薬を飲んで家族の前で縮んだ。 第四の人生を歩むために。
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