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第一話 かつての夢
科学者小山博士は不老(若返り)の薬を研究していた。
彼は既に80歳を越えていた。
なぜ不老の研究をしているというと、彼は第二の人生を送りたいからである。
そして遂に、若返りの薬が出来た。
そして彼はその薬を飲み、身体が縮んだ。周りの風景がいつもより大きく見えた。服もぶかくなった。
彼の合う服を探すと、小学生の頃の大きさが丁度良かった。
そう彼は小学1年生の大きさに縮んだのだ。
科学者と同じくらい目指したかったかつて夢見た画の仕事をするために。
そうして彼は一から時間をかけて画を学ぶために小学生になったのだ。
「うむ。脳もフレッシュになっておる。」
彼は嬉しそうに言った。
かつての科学者仲間の友人の息子に相談し、保証人になって貰い、編入手続きをして小学校に編入した。
一度は諦めた画の道に進むために。
彼は編入し、かつて勉強していたのと同じように友達は作らず、休み時間に画を書く練習を始めるつもりだったが、小学生の編入生への絡みが凄く、小山も渋々休み時間遊ぶことにした。
ドッジボール、サッカー、鬼ごっこをやった。
小学生と一緒にやるのが楽しいことに、小山はびっくりした。
それ以来、小学生の友達を作るようにした。
「そういえば、儂は子供の頃、友達を作って遊んだ記憶がない。」
小山は自分の子供の頃を思い出してびっくりした。
そうして子供の頃に出来なかった小学生の友達と遊ぶこともするようにした。
こうして授業中にこそっとと、家で画の練習。休み時間は友達と遊ぶようにした。
「そーれ。」
小山はボールを投げた。
大きな放物線だった。
敵方は綺麗にボールをキャッチした。そして、ごう速球のボールが飛んできて、小山は当たった。
「わーっ、当たった~。」
「はい。負けーっ。」
たわいも無い毎日を過ごしていたが、小山はそれが心地よかった。
「友達と遊ぶのがこんなに楽しいとは、儂の子供の頃は一体何をしていたんだ。」
子供の頃はもちろん科学者になるために勉強をしていた。
「子供の頃に友達と遊ばなかったのに後悔はないが、遊んどけば良かったのかもしれないな。」
小山は子供の頃を偲ぶように言った。
勿論、画を描くのも忘れておらず、コンクールに出したりした。
結果は落選続きだった。
落選すると、友達に慰められたりして、仲良くなった友達と遊んだ。
これがまた良い気晴らしになる。
また、偶に若返りの効果の人体の実験データを取りに、保証人になって貰った科学者仲間の友人の息子である山竹が来る。
「どうですか、調子は?」
「うむ、今のところ大事ない。」
「子供の体になって感想はどうです?」
「うむ、意外と楽しいぞ。」
小山は山竹に言った。山竹は意外と思ったのか、
「そうですか。」
と驚いた。
「どんな所が楽しいですか?」
山竹は小山に聞くと、彼はこう答えた。
「やはり、子供の頃に出来なかったことをする時かな。」
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