第2章

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私の隣の席に座った彼女は、笑顔で挨拶した。 「こんばんは~初めまして。ユリカです」 大きな目が印象的で、小柄な女の子だった。 こういう水商売の女性は、どちらかと言えば背が高くてスレンダーな人が多いイメージだったけど、彼女は小さく、かと言ってガリガリではなく、太っているわけではないがある程度肉付きのある感じだった。 「あ、どうも。中本です」 私は普段、よくスナックなどに飲みに行くことは多々あるが、このようなスナックと比べて幾分高級なラウンジへ飲みに行くことはあまりないので、緊張していた。 「君、その人の連絡先聞いてた方が良いよ!昇進したから、期待できるよ!」 奥の席からユリカさんにそう声をかけたのは、私の上司にあたる部長の杉田さんだ。 杉田さんこそが、いつもこの店を接待などで利用しているという上司だ。 接待以外ではそんなに飲みに来たりすることはないらしく、常連と言えば常連だが、そこまでの常連ではないらしい。 「え、昇進されたんですか!?おめでとうございます!」 ユリカは私ににっこりと笑ってそう言った。 「いやいや、どうも。ありがとうございます」 彫りの深い、はっきりした顔立ちに私は思わず見とれてしまった。 「あの、沖縄出身ですか?」 「えー!違いますよ!そう見えますか?」 「いや、お顔がはっきりされているので、そうなのかなぁと思って」 「ふふ、生粋の地元民ですよ!でも、そう言っていただけるのは嬉しいです。まぁ、たまに言われますけどね!」 「そうなんですね」 初めて彼女と交わした会話は、そんな感じだった。
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