第2章

5/26
前へ
/148ページ
次へ
中にはホステスとプライベートでランチができる、と勘違いをする馬鹿な客もいるだろうが、私は常識的に考えて、若くて可愛い女の子がおじさんとランチを食べるメリットなんてどこにもないことを知っている。 その辺は承知の上だ。 つまり、ユリカさんは私に、仕事として営業をかけてきている。 だが、いくら営業だと分かっていても、やはり若い女の子と連絡先を交換できるというのはおじさんからすれば純粋に嬉しい。 また、彼女の顔はまぁまぁ私のタイプであった。 タイプと言っても、私もただの独身でおじさんであるし、綺麗な人なら誰でも大歓迎だ。 しかしその中でも、自分の顔が地味なこともあり、ユリカさんのようなはっきりした顔立ちの女性にはどうしても惹かれてしまう。 また、私は彼女の”デパートの寿司屋に連れて行ってほしい”という部分に少し胸を打たれたというか、グッときた。 このような高級なラウンジのホステスは、同伴と言えば客に高くて良いお店に連れて行ってもらうのが普通だろう。 なのに、自分のお金でも行けるであろうデパートの寿司屋に行きたいと行ったのは、とても純粋な子だと思った。 水商売の業界には珍しく、純粋な子だ。 また大学生だからそうなのかもしれないが、大学生でアルバイトとしてホステスをしている女の子というのは、それこそ大学生というブランドを背負っており若さもピカイチなので、天狗でわがままなイメージがあった。 実際、そういう人もいると思う。 しかし、ユリカさんはとても純粋で素直な子だと思ったのだ。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加