0人が本棚に入れています
本棚に追加
凖平君と彩音ちゃん
「真美ちゃん、おはよう。」
家を出て歩いていると、クラスの彩音ちゃんに会いました。彩音ちゃんは大の仲良しです。
「おはよう、彩音ちゃん。今日プール開きだね。イヤだなあ。」
「なんでー、真美ちゃん泳ぎ得意じゃん。」
「私、水着になるの、ちょっとイヤだな、男子たちからまたなんか言われるし。」
「大丈夫だよ。男子たちの言うことなんて気にしないの。子供なんだから。」
「ありがとう、彩音ちゃん。」
私たちの通うG坂小学校は文字通り、坂の上にあります。小学五年生となった今でも、この坂を登り切るのはとても大変です。
「ふう、きついなあ、この坂。」
こういう時は彩音ちゃんが羨ましいです。私は坂を上るだけで、汗びっしょりになってしまいます。彩音ちゃんは絶対にそんなことはありません。肌もサラサラで、髪の毛からはシャンプーの良い匂いがします。
「うわ、杉田汗びっしょりじゃん、さすがデブだなー。」
「うるさい、あんただっていっぱい汗かいてるじゃん。」
相原凖平君は、意地悪なクラスメートです。顔はかっこいいし、スポーツも出来るので、女の子からは結構モテます。でも、私は嫌い。いつも私の体型とか体とか汗をいっぱいかくこととかを馬鹿にしてきます。
「凖平君、意地悪やめなよ。」
彩音ちゃんはこういう時、いつも庇ってくれます。本当に良い友達です。
「うるせーよ、バカ。」
凖平君は、ちょっと顔を赤くするとダッと走り出して、校舎の中へ入っていきました。本当に嫌なやつです。
最初のコメントを投稿しよう!