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それを聞いたアリスは、俯くのをやめて、私とヒカリの顔を一度伺うと、彼女の問いに答えた。 「ん……。どうか慌てず、落ち着いて聞いて欲しい。ヒカリ、アサヒ………。 このサーバーは…。アンダーワールドは、私が独断で立てた。……正確に言うと、元々あったゲームサーバーをコピーして、一部の機能をアップデートした」 それを聞いた私は、今までこの世界で起こっていた、普通とは違うアリス・オンラインに自分が居た事、その全ての謎が解けた。 「アリス…。キミは今、アンダーワールドサーバーは一部の機能をアップデートしていると言ったな……。恐らくそれは…」 私の知らない未公開バージョンの事だろう。 そのパッチに含まれたアリス・オンラインの追加機能が、この世界では実装されているという事だ。 私がデバッグに携わっていないという事は、本番公開に踏み切れなかった、なんらかの事情を抱えたバージョンだと言う事。 それを聞いたヒカリが答えた。 「アサヒ。あたし、何となくだけど、わかって来たわ。今までこの世界で数々の奇怪現象を引き起こしてきた原因の正体が何だったのか」 「開発元の技術者であるおまえなら、何か知っている事があるという事だな?。よければ話してくれ」 そう私が言うと、ヒカリは肯定し、自分が知っている事について、私とアリスに話し始めた。 「恐らくだけど、アリス。あなたが今言った、「一部の機能をアップデートした」というのは、そのアップデート内容は、次世代バージョンのライフサイクルの事じゃないかしら?。 過去に、このゲームに導入を試みた事があったけど、廃止になったの。 導入を試みた技術者は、その存在を恐れた。 運用リスクが高かったって訳ね。 その中で1番問題視されていたのは、人格生成モジュール。 次世代バージョンのライフサイクルには、完全な人格をシステムから生成する機能が含まれていた。そのため、システムから人間を生み出す事が可能だったのよ。 実態を持たない、データだけで成り立った人間をね。 あのNPC達が人間でも演算装置(コンピュータ)でもない存在だって事が、これでようやくわかったわ。 彼らは超人類(トランスヒューマン)よ」 トランスヒューマン…。人類が進化した生命体だと言われている。6年前、とある科学者が提唱した未知の生命体で、1年前に1人目となるトランスヒューマンが誕生した。 その出来事は、人類の技術力は、その後の歴史を大きく動かすであろうと言われている程だった。 トランスヒューマンは人間以上の存在である。これが世間一般に言われている、私達人間から見た認識だ。 知識力と演算能力は、人間の能力を遥かに超えている。 彼等は人間とコンピュータが合体したような生命体だ。 そして、次世代型のライフサイクルは、彼等(トランスヒューマン)を私達が持つ、人間の知識や経験、記憶から生み出すのだ。 「なんだと?。ならば、今まで出会って来たNPC共は、一体誰の記憶から生み出されたというのだ?」 「ん……。それは、ファーストプレイヤーである私。そして、ヒカリの言った通り、私は次世代型のライフサイクルをこのサーバーに、試験的に導入した。 廃止されたというのは嘘。秘密裏に研究は行われ続けた。 それが上層部からの指示だった。ここは本来、研究目的として立てられたサーバーなの。 ………そして、DC(データセンター)場所(リージョン)は、日本国内にある核シェルターだと言う事。これは何を意味しているかわかる?。アサヒ、ヒカリ」 私とヒカリは、揃って首を傾げた。データセンターが核シェルターの中だと?。そこまでして一体何を守りたいと言うのだ。 たかがゲームサーバーだ、そこまでして守りたいデータがあるなど、到底思えない。 軍事機密に関連する書類でもなければ、セキュリティ的に問題があるデータでもないだろう。 何やら、話しの展開が色々と変わりすぎて混乱してしまうな。 「ん……。今から隠された本当の事実を話す。 アサヒ、ヒカリ、貴方達がこの世界へ来た理由も、私は全部知っている」
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