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3時間後………。
私達は話し合った。内容は、この世界に来てから立て続けに発生したバグについてだ。
NPCがおかしい、ログアウトが出来ない。
ゲームをしているはずなのに、実際のゲームの世界に居るような投入感。
この世界は謎だらけだ。
アリスは1つ1つ、それらを説明して行った。
内容は、到底受け入れられないものばかりだったが…。
「アサヒ!、グスッ…。アタシ、どうしたらいいの!?……」
話しがキリの良い所で、一旦休憩を入れる。
その場はヒカリの泣き声だけが、響き渡っていた。
私は泣きついて来るヒカリを抱きしめていた。
「ん……。ごめんなさい。アサヒ、ヒカリ、貴方達を巻き込んでしまって……」
「アリスは何もわるくないわよ!」
ヒカリの唐突な叫び声に、アリスはビクつき、悲しい顔をする。
一体何があったのか。順を追って話すと、こうなる。
あの日、私とヒカリが、このアリス・オンラインの世界に来た時、世界は既に半分近くがステルス核弾頭により終わりを迎えていた。
そう、世界の終わりだ。
そして、私達は死んでいたのだ。
だから、今の私達は人間ではない。アリスは生前の私達の記憶を持っていて、私とヒカリは、その記憶からライフサイクルを通して生成した超人類なのだと言う。
つまり、私達はこの異世界に召喚された訳ではなく、一度死を迎え、転生したという事に…なるのだろうか。
いや、私は彼ではない。アリスから見た、生前の生きた私の記憶から生成された、いわば第三者の記憶からコピーされた私なのだ。
「ん……。私はこのゲームを始めて、あなた達を知った。多分、あなた達は開発者の中で1番、アリス・オンラインをプレイしたユーザー。
だからきっと、超人類だろうと、生前のあなた達の性格や人間性の部分は、ほとんど変わらないままだと思う」
まあ、毎晩残業漬けで、こいつとただひたすら害虫駆除していたからな。ゲームプレイ時間は職業柄、誰よりも長い自信がある。
アリスは私とヒカリについて、とても詳しい。でなければライフサイクルから、私達の記憶を辿って、ここまで私とヒカリを完全な超人類にする事は出来なかったのだろう。
そのため、恐らくアリスは生前の私やヒカリと交流していたのだ。それもきっと、とても長い間一緒に。深い仲であったのかもしれない。
「すまないアリス。あのとんでもないシステムの事だ。キミの話は可能性としてはあり得る事だろう。
だが……。私達はずっと前に既に死んでいただと!?。
世界が終わりを迎えただと!?。
イマイチ実感が湧かないんだ」
アリスは、ヒカリを背中から抱きしめ、慰めながら私に話した。
「ん……。無理もない。……受け入れるには、時間の掛かる事。……そして何故この世界ではログアウトが出来ないか。それはあなた達は生身の肉体を持った人間ではなく、データで表現された人間だから。
……そもそもログアウトする場所がない」
私達に帰る場所は無いと言う事か。
今の日本はどのような状態なのだろうか…。
核弾頭の着弾により、日本列島にいくつもの巨大なクレーターが出来上がり、大地は枯れ、放射能で汚染され、世紀末な状態なのだろうか。
何故核戦争が起こったんだ。
1人で考えても、謎が謎を呼ぶだけであり、これではキリがない。
そのため私は、まだまだ聞きたい事があったため、俯きながらアリスに尋ねた。
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