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気が付けば夕方となっていた。
グリフォンは、私達の奇行に興醒めしたのか、それとも狩れる相手ではないと悟ったのか、逃げ出す者が出始めて、次第に数は減って行った。
「ウウウ……ウプッ!、もうだめぇ〜…。
これだけ吐き散らかせば、吐くものも出ないわ……ううっ、あたしはなんて事を、シクシク。嫌よこんなの!。助けてぇ〜…アサヒィ」
砲台の山から、ヒカリの声が聞こえた。
最初は幽霊の声かと思って無視していたが、
どうやら彼女は砲台の山の中に埋もれてしまったようだ。
ドゴンッ!!!
ヒュウウウウウウウウウ!!!
ドガアアアン!
「ビギャオオオ!!!ッ」
バサッバサッバサッバサッバサッ………。
次に発射されたのはアリスだ。
アリス弾を喰らったグリフォンは、長きに渡る戦いの末、とうとう逃げ出した。
「ん………あれで最後。1体も倒せなかったけど。ウプッ!!、オエエエエエ……」
アリスはそう言うと、黄金の液体を口から流した。
「zzz…、zzz…、zzz…」
一方、ライカの方は、疲れて寝てしまったため、今は私が抱っこしている所だ。
彼女にしてみれば、遊び疲れたから寝ているだけなのであろう。
流石、私を追い詰めただけの事はある。
今までの戦争が、遊びの1つにしか入らないとはな。
とりあえず今回の、ライカを恐怖に陥れる作戦は失敗だ。だが、勘違いするなよ?ライカ。
こんな無防備な状態でおまえを殺す事は簡単だが、そんな簡単に死なせるはずが無かろう。
そんな死に方では、私がおまえにしてやられた、数々の嫌がらせをされた事と比べた場合、全く釣り合いが取れないからだ。
おまえにはもっと、恐怖と絶望を感じたまま、苦しみながら死んで貰わねばならない。
「ううう……。ライカちゃん、よくこんな状況でスヤスヤ寝れるわね…」
ヒカリは、砲台の山からガサガサと音を立てながら、這い出て来てそう言った。
設置箇所が不安定な砲台には、近づいても弾として吸収される事はない。
「ん………。安全を確認出来た上で、アサヒ…。私とヒカリとライカをこんな目に遭わせたお仕置き……いまする」
相変わらず、怒っているのか、冗談なのか、いつも何を考えているのかわらない無表情なアリスは、呪文を唱え始める。
そして魔法名を叫ぶ。
「フリーズ!」
「んぐ!ぐぬぬぬ。アリス!貴様!、私をフリーズで動きを止めて何をする気だ!」
「いいわよ〜、アリス。そんな奴、さっさと痛めつけてあげなさい。もうこれに懲りてバグを使う事を諦める程にね…。ウプッ!」
ヒカリは今にも吐きそうで、顔色を青くしたまま、地面に倒れながら言った。
「ん……。何を……。するって?。決まっている。黄金の液体をお裾分け」
そう言うとアリスは、「ウプッ」と言うと、両手で口を押さえて、前屈みで私に近寄って来る。
「なんだと!?。アリス!。気でも狂ったか!?」
「ん……。そうだね。違った。確かアサヒが言うには、ウプッ!……。閃光弾だったね」
「そう言う事を聞いているのではない!。やめろおおおおおおお!!!!」
「オエエエエエ!」
ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ…。
そしてアリスは、睡眠中のライカをどかすと、私の身体に閃光弾を放った。
黄金に光輝く液体は、見る事も出来ない程、強い光を周囲に放ち、私は思いっきり目を瞑ってしまう。
私の身体に生暖かい物がかかるのを感じた。
私は鼻をつまむが耐えられず、貰い閃光弾を自らも放ってしまう。
「ウプッ!、オエエエエエ…」
ゲロゲロゲロゲロゲロ…。
フラッシュ・バンは投げ返す事が出来ないと知ってはいたが、閃光弾は投げ返せるのだな………。
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