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何故このような場所を狙ったのか。
それは、ある場所にまで、このグリフォンを誘き寄せて、テイムバグを使うためだ。
テイムバグを使う事により、私のような低レベルプレイヤーでも、容易にグリフォンという、わりと強いモンスターを仲間に出来るのだ。
ドコンッ!!!
ヒュウウウウウウウウウ!!!
「はははは!。おい!グリフォン!。私はここだぞ!?」
ズコォオオオ!!!
私は、奴を挑発したと同時に、地面に着弾し、ヘッドスライディングとなってしまう。
「プギャ!プギャギャギャ!!!」
そんな残念な有様を見たグリフォンは、からかうように笑った。
「おのれ!。モンスターの分際で私を馬鹿にするとは!」
私は悔しながらも、再び起き上がり、奴を目的の地点へと誘導するため、砲台を建設する。
カコン♪カコン♪カコン♪、ドゴンッ!!!
そして自分を装填させ、発射した。
キュインッ!
ドゴンッ!!!
後1回程、大砲から発射されれば、目的地に到着出来そうだ。
ヒカリやアリス達が戦っている場所からも、だいぶ遠ざかって来ている。
そして目的地であるエリアが見えて来た。
その目的地一帯は、森だ。直径10メートルはある長い木で覆われていて、木と木の間隔は数メートル程しかなく、そのため、狭い道が多く、複雑に入り組んでいる。
グリフォンのようなデカイモンスターから逃げるには絶好の場所である。
そしてこの森には、エリア名があり、「密猟者の森」と呼ばれていて、森の中は動物を捕まえるためのトラップが多く、「密猟者」という名前の人間のエネミーが多数出現する。
このエリア限定で受注出来るクエストも存在する。確か、密猟者達を狩るクエストと、森一帯に仕掛けられたトラップを解除するクエストが受注出来たはずだ。
私は、挑発に乗ったグリフォンが飛んできているのを確認すると、密猟者の森に行くため、砲台をクラフトして、砲台から私を発射させ、森の中へと飛んで行った。
ドゴンッ!
ヒュウウウウウウウウウ!!!
ズコォオオオ!!!、ドスン!
森の中へと無事、発射させる事は出来たが、着弾時、ヘッドスライディングしたまま、木に激突してしまった。
しかし問題はない、人間大砲は着弾した相手はダメージを受けるが、大砲の弾である本人は、ダメージが入らない。
そのため、普通なら、ここまで勢い良く頭をぶつけた場合、気絶状態になっていた事だろうが、人間砲弾の補正効果により、私は頭に出来たタンコブを撫でると、そのまま起き上がる。
痛みは無いが……。何故かタンコブだけは表示されるのだな。実に不思議なものだ。
そして周囲の状況を把握する。
近くに密猟者が仕掛けた罠があるかもしれない。また、密猟者が私に奇襲を仕掛けて来るかもしれんな。
私は自分の装備ステータスを確認した。
【装備中のアイテム】
・首跳ね女王の剣x24
・首跳ね女王の盾x24
「・・・・全く問題ないな」
グリフォンだろうと、密猟者だろうと、この私にダメージを入れられる奴は存在しないと言っていい。
というか、このチート装備があれば、大砲バグを使わなくても、グリフォンを全員始末出来た事に、私は気付いた。
人間砲弾祭りが面白すぎて忘れていたのだ。
それにあの時は、ライカも居たから。全員が狙われても問題ない方法が、私の提案した砲台ハメだったのだ。
奴らは人間の狩に慣れている。つまり、それなりの統率も取れていると見ていいだろう。
そんな奴らにうってつけなのが、砲台ハメによる、狂った戦い方だ。
それは、狩慣れている奴等だろうと今までの常識は通用しないという事だ。
あの砲台ハメは非常識で狂ったやり方だ。
標的となる私達を全員違う場所に撃ち、相手の戦力を分散させ、統率を欠く事も出来る戦法だ。
だが、今ここで守るべきは己の命のみ。
そして私の対戦相手も1体に絞る事が出来た。
つまりタイマン。
ヒカリも居ないため、誰にも邪魔されず、バグも使いたい放題、やりたい放題だ。
私を追って来たグリフォンを、ここで瞬殺しても良いのだが、せっかくテイムバグが可能な、ここまで誘き寄せたのだから、グリフォンをテイムしてやろう。
あいつは空も飛べる乗物になるから便利だしな。
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