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「ウヒョヒョヒョ!!!。人間風情がボキに口答え?。チミ、そんなに死にたいのかな?。ボキが誰なのかを、もう一度言ってみて欲しいものだね?。
ねえ……ねえってば?。チミだよ、チミ。
チミ、さっきから、おしっこの匂いがするよ?。もしかしてチビったとかかな?。
ウヒョヒョヒョヒョ!」
アーク・グリフォンは、村人達の中にいる1人の女性の方を向いて、高笑いをする。
女性は、グリフォン特有の大きな眼球が、決して自分を見る事はなく、目の焦点が合わないまま、ギョロギョロとしているのが、グロテスクだと思ったのか、酷く怯え、隣の男性にもたれ掛かって、ボソッと言った。
「怖い……。それに、気持ち悪い喋り方……」
周囲に居た村人達は、それを聞いて、一斉に凍りついた。
辺りは緊迫している中、風の音さえ、よく聞こえる静かさだ。
今の女性の発言は、小言とは言え、アーク・グリフォンには聞かれてしまった事だろう。
「なぁあああああああんだとぉおおおおおお!!!!!!!!」
村中に獣の咆哮が響き渡った。
村人達は、皆両耳を塞ぎ、そして中には、体勢が崩れそうになり、蹲った者も居た。
アーク・グリフォンが叫んだと同時に、翼が勢いよく開いたため、爆風が村人達を襲ったのだ。
そして、先程のアーク・グリフォンの怒りを買った女性は、自身の身に、何も異常が無い事を理解すると、砂埃が入った目を拭き、ゆっくりと目を開けた。
女性の目の前には、グリフォンが立っていた。
そして、アークグリフォンは何かを咥えていた。
それは男性の頭だ。
アーク・グリフォンは、クチバシに咥えたそれを、グシャリと音を立てて潰し、ゴクリと喉を鳴らして飲み込んだ。
女性は恐怖のため、叫び声すら上げるのを忘れているのか、口を大きく開いたまま、顔を真っ青にし、目に涙を浮かべて、呆然と立ち尽くしたままだ。
そして、女性はふと気付いた。隣に居た、自分がもたれ掛け続けている男性の様子がおかしいと。
寧ろ、自分が男性の方を持ち上げようと、腕に力を入れている事に気が付いた。
女性は恐る恐る、男性の方に顔を向ける。
そして、男性の、その有様を見た女性は、白目をして気絶し、男性の遺体と共に、倒れた。
「ウヒョヒョヒョ!!!。ボキ、やる方間違えちゃった!。テヘペロ!。
まーでも、どっちでも良いよね!。どうせ皆んな今ここで死ぬんだし。死ぬ順番なんて考えるの、面倒だよね!」
アーク・グリフォンは、まるで、高い声と低い声が入り乱れているような狂ったような声でそう言うと、大きい眼球が突然、不自然な動作をし始め、ギョロギョロと回転する。
アーク・グリフォンの目の焦点は、普段は合っていないようだ。何処を見て、何を考えているのか全くわからない。
そして、気分だけで人を殺す恐ろしい狂ったモンスターだ。
アーク・グリフォンは、目をギョロギョロと動かしたまま、何かを考えているようだ。
「うーん、これからどうやってチミ達を殺そうかな。うーん、うーん、うーーーーん」
そう言っている間に、1人の村人の男性が、突然叫び声を上げて、村の出口に向かって走り出した。
「チミ……。逃げようとしても無駄だよ。
まあ、ボキがやる分が減っちゃうのは、少しばかり残念だけどねー!」
走りながら暗闇の中に消えて行く1人の男性、村人達は、今から何が起こるのかと、その男性の最後を見届けようと思った。
しかし、男性が見えなくなった後、一瞬強い風が吹いただけで、何事も起こらなかったと村人達は思った。
「チミ達、今のが一瞬すぎてわからなかったかな?。だったら上を見ると良いよ?。面白いモノが見えるからさ!」
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