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「これで全員かしら?」
ヒカリは、村人達が全員集まった事を確認すると、村人達にも確認を取る。
「冒険者様……その事についてなのですが」
村人の1人が、顔を曇らせてヒカリに言った。
「その………、村の中にも隠れた者が複数名居まして。
ですが、あそこにはアーク・グリフォンが居ます。
ここに居るグリフォン達とは比べ物にならない強さです。大変危険です」
(困ったわね……。此処を移動する訳にも行かないし、グリフォン達に対抗出来る魔法防壁を発動出来るのはアリスだけ……)
ヒカリは、他に何か方法が無いか考えた。
そしてその時丁度、アサヒとグリ子が気絶状態から回復して目を覚まし、アサヒは頭痛でも起きているためか、少し苦しそうな様子で、頭を片手で抑えながら立ち上がる。
「うう…あ。全く、味方を間違えて撃つなとあれ程注意したと言うのに…。おまえという奴は」
「あら、そこに居たのね、2人とも。
寝起きで悪い所だけど、ちょっと手伝ってくれないかしら?。此処と村の中を守るのに、人手が足りない所なのよ」
「ああ。ならば、グリッグスの事は私に任せろ。お前達2人だけで、あいつを倒す事は出来ないだろうからな」
「あーさーひー?」
ヒカリが疑いの眼差しを向ける。
またバグを使うと思っているのだろう。
その通りだとも。私は不具合チート勇者。
不具合やバグを悪用し、敵を葬る者。
「わかってる、わかってる。事前に使うバグを共有すれば良いのだろう?。あいつを楽に倒せるハメバグなら、あれしかないだろう」
そして私はグリ子の頭を撫でて、痛いの痛いの飛んでけ〜をしてやると、グリッグス討伐のため、村の方へと歩いて行く。
「・・・・ってちょっとお?、あれって何よあれってー!(怒)。全然共有になっていないんですけどーー!(怒)」
「今は説明している暇はない。少しは自分の事を心配したらどうだ?。グリフォン共は、お前達を狙ってるみたいだぞ?」
そう言って私はヒカリ達の頭上を指差す。
あれだけの数だ、いくらチート僧侶の魔法防壁だろうと、長くはもたないだろう。防壁を破られる前に、敵を殲滅させる事がヒカリ、アタッカーのソーサラーとしての、おまえの役目だ。
「わ!、わかってるわよーーっ!んもう!。
ちゃんとバグコン3、いえ、2以下のバグを使うのよー!?」
今、ヒカリが言った、バグコンとは、バグ・コンディションの略で、先程ヒカリから手渡されたバグのメモ帳にまとめてあった、バグの危険度の段階を表したものである。
バグコンは1〜5段階まであり、ヒカリは、バグの使用に伴う危険度の各段階について、以下のように記載していた。
バグコン1… バグを意図的に使用、悪用しても、全く問題ないレベルのバグ。基本的に、あたしの許可無しで使用してOK
バグコン2… 大きな効果が期待出来て、汎用的なバグ。意図的に使用、悪用しても、さほど問題ないレベルのバグ。あたしへの許可は、基本的に不要だが、緊急時を除いて、事前に使用する事を伝えて欲しい。
バグコン3… 非常に強力な効果と、影響力を持ったバグ。発動する事により、自身、または世界に、なんらかの悪影響を及ぼす可能性がる。基本的に可能な限り、使用は回避する事。使用にあたっては、事前にバグの影響を確認し、慎重に行う事。あたしへの使用許可は、絶対に必要。
バグコン4… 神をも殺める事が可能な程、強力なバグ。使用により、世界になんらかの悪影響を及ぼす可能性があり、最悪の事態としては、世界までもが狂ってしまい、最終的に、世界が消滅する危険性がある。基本的に使用しないバグだという事を理解する事。あたしへの使用許可は、絶対に必要で、基本的に許可は下りないと考える事。
バグコン5… 世界を終わらせられる程、強力な影響力を持ったバグ。バグの使用により、ほとんどの確率で、世界に悪影響を及ぼすと考えて良い。世界が狂って、世界の理が崩壊し、全てが消滅するリスクが、とても高い危険なバグ。あたしへの許可は不要。つまり、絶対に使うなって事。
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