独白 口にするにはもどかしい想い

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独白 口にするにはもどかしい想い

単に気持ちの揺らぎを悟られたくないだけかもしれない。落ち着くから、というより他のことに集中して周りの人も、自分さえも誤魔化しているというのに近いように思う。本当のところは自分でもわからないけれど。というよりこれまで深く考えたことがなかった。 自分の行動を振り返ることがないタイプなのだということは周りを見ていて気がついた。 大人になるまでずっと、何をしてもさして反応もせず受け入れるタイプの人に囲まれてきたのが大きいだろう。要するに家族とバンドメンバーのことだけれど。 皆がいかに放任主義だったかということに気がついたのは、菜央がふと、どうしてポテトチップスを揚げたくなるのか?と聞いてきたときだった。 口に出さないだけで、みんな疑問に思っていることもあるんだなと、唐突に悟ったのだ。そんなことをいい大人になるまで気にしてこなかった俺には、何か大きなものが足りないのかもしれない。
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