24人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
●●とは
代表格として、まず黄色と黒の縞々のやつ。
あれがキライな人には、それが何だと正式名称を告げなくても、すぐに分かる。
むしろ、キライな人にとっては、その名前の単語―――平仮名ならギリOK、カタカナはもうダメ、漢字とか絶対に金輪際ダメ―――が世界に登場すること自体が、すでに恐怖なのだ。
セックスしたあと、男が食われるって何なんだよ。
前後左右予想もつかない方向に急に動きだすのやめてくれよ。
絶対ここは安全だろって思うような、広い道幅に家を作りやがるヤツたまにいるけど、どんだけポジティブなんだよ。
飯の食い方だって、圧倒的に無理過ぎ。
生きたまま溶かして体液すするって。
やっぱり無理。絶対に無理。死ぬまで無理。
あああああああ~~~~
―――悪い虫を捕まえて食べてくれるんだよ、とあれに恐怖を感じない側の人間は、よくそう言って笑っていた。
そんなことは分かっている。
だけど、みんなもうそろそろ気付くべきだ。
あいつらが本当の本当にモンスターだってことに。
小さい頃、テレビ番組で何気なく流れていた光景が、今でも忘れられない。
いつか人間が滅んだら、きっと世界を支配するのは彼らの役目になるのだろう、と真面目な顔をした学者先生が確かにそう言っていた。
人類滅亡後、誰もいなくなって廃墟と化した高層ビルの谷間で。
白く光る糸をつぅ、と伸ばして。
奇妙なまでに芸術的な形の我が家をときおり風に揺らして、静かに光る八つの目を隠しながら、きっと彼らは虎視眈々と、獲物の姿を待ちつづけているのだろう、と。
最初のコメントを投稿しよう!