エピローグ

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エピローグ

目の前で鮮血が飛ぶ。 親父の胸が赤色に染まった。 親父は魔法結社の(ヘッド)だった。 18になった俺の誕生日、親父は暗殺された。 犯行グループが俺に銃口を向けたのと同時に倒れていた親父が立ち上がったら。 「…逃げろ…」 親父はこの言葉を言い終えると同時に頭に花を咲かせた。 鮮血が飛び散った瞬間 俺は屋敷から飛び出した。 追うように弾丸が俺の横に着弾する。 持っている物は日頃から身につけている防弾チョッキとナイフ、10万円程入った財布だけだ。 遠くへ、遠くへ逃げる。 死んでたまるか… 恐怖に耐えるように走り続けていた。 豪雨降り注ぐ中、とにかく走り続けた…… 死んでたまるか… 親父は俺の憧れであり目標だった。 かつて異世界転移からの帰還を果たし、世界に魔法を広めた男でもある。 そんな親父の唯一の弱点は銃撃だった。 防弾チョッキをつけていても長距離からの銃弾は親父の脇元を捉えた。 さらに顔面を直撃した。 復讐は今の(・・)俺には無理だ。 力が足りない。 とにかく逃げるしかない。 狙撃という暗殺方法を使われたなら、背後にいる勢力に俺も狙われる。 親父に言われた通り逃げるだけが今の活路だ。 素性を隠し、なんとしても逃げ延びる そしていつかは復讐する。 結社の次期(ヘッド)として指名されているが、俺は背後に誰もいない未熟者だ。 それに、ヒラメのような結社の幹部連中が俺が(ヘッド)になった途端に裏切るなど目に見えている。 親父が亡くなった今、俺は誰の援助もない。 通っていた高校にいる彼女ともこれで会う事は出来ないだろう。 俺は自分に言い聞かす。 これまでの事は忘れろ そして、いつかは復讐を果たしてやる………
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