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俺は道場に足を運んだ。勿論、大文字としてだ。
歴史が短い道場に入ると多くの門下生らしきもの達と遭遇した。
だが声をかけられる事はない。
笑顔で 真沙美が手を振ってきているのだ。
どその分痛いほどの視線を浴びさせられているが気にしなければ良い。
ガキじゃあるまいし手を振る必要性はどこもない。
なぜ彼女は俺に手を振ってきているのだろうか。振らなければ良いではないか。
だが、今更それをやめたさせる事は出来ない。
「おはよう、真沙美」
俺は軽くてをあげながら歩み寄った。
周囲の視線はガン無視している。
あと数歩で真沙美の元に着く時だった。
前にいた真沙美の空気が変わった事に気づいた。
気づいた俺は懐に入れていた万年筆を取り出した。
同時に、どこから取り出されたのか真沙美の手から真剣が振り落とされた。
一見したところ、高速で振動している。
振動を使って相手を武器ごと切り裂く技術というところか。
すざましい衝撃音の中、俺は笑った。
真沙美は驚愕を浮かべる。
「“ペンは剣より強し”です。如何でしょう?」
魔法協会の開発によって作られた魔法名家が繰り出す魔法攻撃など所詮は俺の眼中にない。
いくら振動を纏っていたとしても俺がそれを打ち消す様にに万年筆を振動させて仕舞えば意味を持たないただの真剣だ。
強化魔法を万年筆にかけておけば真剣を受け止める事ぐらい造作もない事だ。
ただ、周囲は驚きをみせている。
彼らの心の声を代弁するなら、「ペンは剣より強しはそんな物理的な意味じゃねぇ」というところであろうか。
真沙美が次なる剣撃を俺に放とうとする。
愚策としか言いようがない。
間合いは僅か50cm弱
剣を振り落とすよりペンを突き出した方が早い。
「参りました…」
真沙美が降伏の音を上げたことで、手合わせ(?)は終了となった。
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