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なんだあいつ…
魔剣学院の3年A組は騒めきに包まれていた。
魔剣学院の3年に編入生が入ってくる事に前例はなく、それも特例で認められたとの発表があったのだ。
教師に連れられて教壇に立った青年は軽く腰を折る。
頭髪や眼は遠近感を失わせる程のダークブラックで体格は痩せマッチョ、顔つきは貴公子とは真逆で男臭さが溢れた昭和前半の日本男児を思い出させる。
だが、纏っているオーラは完全に人を戦いで殺した連中が纏っているものと似ている。
私、西田 真沙美は女子でありながら、クラスの魔剣術のトップを走っていた。
私は魔剣名家の分家出身であり、特殊な訓練を重ねていく中で実際に人を斬り殺すという経験も積んできた。
だから相手の実力を見極める事ぐらいは容易なのだ。
どれだけの数を殺せばあのオーラを持ち合わせるのか。
謎の不気味さを感じた私はこれ以上の考えを辞めた。
「これから世話になる大文字 剛毅だ。得意な魔法はない。全系統を使いこなせるぐらいというレベルだ。よろしく」
教師に促されるように語った自己紹介に私は驚きを感じた。
全系統を使いこなすという行為は世界でも極めて珍しく、その才能は100万人に1存在するか否かというレベルだ。
只者じゃないという事は確認出来た。
私は要注意人物帳に大文字の名を入れた。
ーーーーーーーーーー
見られてる。
大文字 剛毅こと隆志は自分を推し量る視線を感じた。
なんでもなさそうな女子からの推し量る視線である。
俺の記憶が正しければ、西の魔剣名家の西田家の分家の子息だったはずだ。
かなりの腕が立つ人物だと聞かせれていたが、俺の正体に気づかれる危険があるとまでは考えていなかった。
早めに取り込んでしまった方が良いかもしれぬ。
架空の人物である大文字 剛毅の住民票なども偽装している為、戸籍データを洗われる事でバレる事はないが、それ以上に人の目の方に注意せねばならない。
生き延びる為にはバレる事はNGだ。
全ては生き延びて復讐を果たす為…
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