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私はその辺に居た子猫を服で隠すようにして、自分が住んでいる棟の屋上に向かった。
屋上は鍵がかかっておらず、誰でも行けるようになっている。
普段は屋上に人の出入りはないが、小学校の高学年のお兄ちゃん達が秘密基地と称して夏休みに出入りしてたぐらいだったと思う。
その秘密基地跡がそのまま残っていて、子猫を隠すには丁度いい雨よけなのか、風よけなのか、青いビニールシートと壊れた傘が無造作に張り巡らせてあった。
私はそこで1時間程遊び、子猫を置いて再び1階に戻り、捨ててあったダンボールを手に持ち、息を切らしながら屋上へ戻った。
帰る前にダンボールの中に子猫を入れ、その場を後にした。
次の日から、友達と遊んだ後は子猫の様子を見に行くというのが毎日の日課になってた私は、その日も楽しみにしていた。
今思えば、屋上に行ける階段は他にもあるのに、何故当時は自分家の前を通り過ぎて屋上に行く手段しか思いつかなかったのだろう・・・
その日は母がたまたま早く仕事先から帰ってきて、私の後ろ姿を見て声を掛けたらしいが、走っていた私は気付かずそのまま家を通過し屋上へ上がった。
母は家に入るが私の姿がないのを心配して屋上まで探しにきた。
子猫と遊んでる事に夢中だった私は、母に気付かず、気付いたのは子猫の方だった。
私の後ろを見て鳴き声を上げながら私を素通りする。
どこに行くのかと私が振り返った先には、凄い怖い顔をした母の顔だった。
それからの事は覚えておらず、泣き叫んで謝ってる事しか覚えていない。
泣き疲れたのかいつの間にか寝てた私を呼ぶ声に気付き、目の前に父の顔があった事で、安心からか抱きついて父と母が言い争った後、抱っこされて車に乗った後どこかへ向かっていた。
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