第1章 こうして望んでもない俺の青春が始まった 

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 「失礼します。一年A組の篠原悠人です。松川先生に用事があってきました」  と悠人が先頭で入室したのでそれに続いて俺と夏川も入室し、松川先生の席へと向かった。  「何の用かね」  と松川先生はさばさばとした口調で聞いてきた。一瞬俺の方を見てにやついたと思ったが気のせいだろうと深く考えずにいた。  「クリア部の顧問の先生が誰か教えていただきたいのですが」  と悠人が自慢のコミュニケーション能力で知り合ったばかりの絡みづらそうな先生にも気後れすることなく要件を伝えた。我ながら悠人のこの一面には感心する。  「なんだお前らクリア部に入部したいのか?」  再び先生の口元がつり上がった気がした。まぁ、気のせいか。  「はい。僕がクリア部のうわさを知って二人を誘ったんです」  「そうなのか。まぁ良い。私がクリア部の顧問だ」  「「「え?」」」  三人とも同時に思わず聞き返してしまった。まさか担任が得体も知れないクリア部だったなんて誰も予想していなかった。  「私が顧問なのは意外か?」  「いや意外というか驚いただけです」  「そうか。それで、入部届を出しに来たのか?」  「はい。それと、部室の場所を教えていただこうと」  「あぁ、部室は南校舎三階の空き教室だ」  「ありがとうございます」     一通り悠人が目的を果たしてくれたので入部届を渡して立ち去ろうと瞬間松川先生も立ち上がった。  「えっと、先生もどこかへ行かれるんですか?」  と悠人が質問すると、  「何を言う。お前ら部室に行くんだろ?初回だし同行するさ。それに活動内容についても話さないといけないしな」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加