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黒猫の告白
黒猫をリビングのソファに座らせる。私も隣に座った。
「猫って、何を食べるのかな? えっとスマホで検索しようかな」
「猫じゃない」
「え?」
「俺は猫じゃない。裕樹だ」
私はスマホを落とした。
「裕樹くん……」
「これは、プロジェクトが決まってから俺が個人で制作したアンドロイドだ。宇宙局職員に、ある日付になると電源を入れて自宅の近くで放すように頼んでいた。いま、ステーションから遠隔操作している」
「なんで、そんなややこしいことしたの? 私と会話したいなら端末を使えばよかったじゃない!? 宇宙に旅立ってから、なにも! なにも連絡くれないで! だいたいプロジェクトに参加するのだって、誰にも言わずに決めて……」
黒猫……いや、裕樹くんは私の太ももの上に乗った。
「この会話は、誰かに聞かれたらマズいんだ。真希ねえちゃん。プロジェクトは無事に進んでいる……ということにしている。表向きは」
「え?」
「『宇宙少年育成プロジェクト』は成功している。俺、天津裕樹を覗いて」
「そんな! ゆうちゃん! ゆうちゃんだけ失敗したの? ゆうちゃんだけ……大人になれないの……?」
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