第一章 出会い

6/15
前へ
/15ページ
次へ
玄関に着くと高島さんは他の男子と話をしていた。「沖田君、こっちこっち。」 身長が高く、あきらかに女子に人気のあるイケメンだ。 イケメンが、僕の目を見るなり口を開いた。 「沖田君、初めまして剣道部の真田です。」 剣道部!?真田さんも高島さんと同じ、真っ直ぐな目。 高島さんが割って入ってきた。 「沖田君、今日を誘ったのはね剣道を見てみないかなと思って。」 剣道!まさかそんな話をされると思っても見なかった。その時気づいた。 そうか、高島さんは剣道をやっているんだ。だから不良を相手に戦えたんだ。その事を考えると気になった。 「ぜひ見させてください。」 剣道場の扉前に着くと汗の臭いをがした。初めてスポーツを見る。少しだけ胸がドキドキしていた。 剣道場に入ると無音の空間、壁には垂れ幕が飾ってあった。“心技一体” 心技一体?どういう意味だろ? 「沖田君は見学だから、ここで座って見ててね。」 僕が“心技一体”の垂れ幕を見ていると真田さんが話し出した。 「心技一体って、意味はね、心があるから 体の動きが生まれて、 心と体が動くことは技となる。 心と技は、別の物ではなくて、一緒の事なんだ。」 深い意味があるのだが、いまいち理解できなかった。 剣道場には、剣道部員が集まり賑やかになってきた。 いじめの事を学校にいる間、忘れることは一度もなかった。いつ誰が僕を見て暴力を振るうかも知れないから警戒心が自然に出てしまう。 今この時は警戒心がなく、普通に接している自分がいた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加