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どうやら真田さんは、三年生で剣道部の主将だった。
剣道場内で全員が練習前に正座して、真田先輩の掛け声「黙想。」と共に目を閉じる。なんだかよくわからないが自分も目を閉じた。
剣道場内が無音になる。目を閉じたことで真っ暗だが、肌に風を感じる。初めての体験だ。
無音の剣道場から微かに、扉が静かに開く音が聞こえる。僕は目をゆっくり開いた。
すると剣道場に入ってきたのは、今日をトイレで助けてくれた人だった。
助けてくれた人は僕に気付き、人差し指を鼻にあて、静かにとしぐさをしてきた。
全員が剣道着になっているなか、1人だけ制服のまま、その場に正座をしだした。
「やめ!」と掛け声と共に目を開き頭を下げ「よろしくお願いします。」と全員が声を出す。
全員が練習に取りかかろうとしたところ、真田先輩が助けてくれた人を呼び出す。
「本宮!お前また遅刻か!」
本宮は申し訳なさそうな表情をしている。
「すんません、先輩!わいの友達が揉め事にあっちゃいまして。」
真田先輩は呆れた表情で言葉を返した。
「お前!一昨日も同じ事いってなかったか?」
本宮はとぼけた表情をしながら返答する。「わい、友達が多いんですよ。」
真田先輩はため息をつき。
「わかったから、早く着替えてこい。」
真田先輩が見てないところで、本宮君は僕にピースサインを送ってきた。
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