生贄一人目

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「ピエロ!ピエロ?!どこにいるの!」 今日もあの世界、『ワンダーランド』に来てしまった。 この数日間にあった出来事をピエロに話すために私は声を張り上げる。 「ここにいるよ!」 ニヤニヤしながら登場したピエロ。 私は、そんなことに突っ込むこともせずに興奮気味に話し始めた。 「へぇ~、楽しめたようでよかった!」 「こんなに楽しいことがあるなんて、もっと早く知りたかったわ!」 今まで光をともさなかった目に光が灯る。 ピエロはまたニヤリと笑うと、 「もう満足したかな?したのなら、僕の役目は終わりだ。代償をもらおう。」 ああ、そういえば、代償を払わなくちゃだった。 「今回の代償は、君の寿命だ!ある程度の寿命は残るようにいただいていくよ!」 ある程度は残る、か。 こんな人生、捨てたようなものだ。 なら、もっと、もっと、このワンダーランドを楽しんでもいいんじゃない? 寿命は残ってる。 またあっちの世界に行って腹いせにいじめられるなんて御免だ。 そうだ、まだ満足するなんて早い。 私は、あいつら全員を殺すと決意したんだ。 まだ、復讐は終わってなんかいないんだ。
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