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おとぎの国?
共働きの両親は家に帰ってくることが少ない。
それも相まってか殺したい欲は膨れ上がるばかり。
その気持ちは就寝直前まで襲い掛かってくる。
睡魔に襲われ、寝付く瞬間に私は普通の『JK』に戻れる。
...はずだった。
まるで遊園地のような音楽で私は目を覚ました。
「え...?私、寝てたはずじゃ...?」
そう言ってからすぐに気づいた。
これは夢なんだ、と。
こんな子供っぽい夢を見るなんて、いつぶりだろうか。
そんなことを考えながらも歩き出す。
見たところここは本当に遊園地のようだ。
少しおかしいのはキャストさんが一人もいないということ。
そう思った瞬間、バーンという爆発音が聞こえた。
「ようこそ!ワンダーランドへ!可愛いお嬢さん、遊んでいかないかい?」
そう楽しそうに言ったのはおかしなピエロ。
...遊んでいく、と言われても。
人は一人もいないし、見たところ乗り物も一つも動いていない。
「えっと、ここは遊園地ですよね?」
「その通りさ!ここはワンダーランド、おとぎの国!君が望む事なら何だってできる!」
私の望む事なら何だってできる、か。
私が望む事は一つしかない。
だからか、ここで遊びたいという気持ちなんて微塵もわかない。
「悪いけど...私は別に遊びたいわけじゃないの。」
そう言って夢からどうすれば覚めるのかを考える。
「...言っただろう?どんなことでもできる、と。それなりの代償はもらうが、何がしたいのか言ってごらん!」
それなりの代償ってどんなこと?
そう聞こうと思ったが、声が出ない。
何故声が出ないなんて考えるのも億劫だ。
どうせこれは私の夢、なら何をしてもいいんだ。
私はピエロにただ一言、三人を殺したいとだけ言った。
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