食われたっ?

2/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 階下で玄関を開ける音がする。 「おばさんこんにちはー!」  入ってきた奴が誰だかすぐわかる。 まずい!今日の俺はオペレーション49010110(シークレットイート)(隠れ食い)の真っ最中なのだ。 なぜこのタイミングに来た!  どたどたと階段を駆け上がる音が近付いてくる。いい加減その歳になったら女らしさを身につけろ。 そう言ってやりたい所だが俺はオペレーション49010110の真っ最中。 見つかったら絶対によこせと言われる!冗談じゃない! 完売必至、予約殺到の年輪堂のプレミアムバウムクーヘン!やっと手に入れたんだ!このまさに至高の時間を堪能してるそのタイミングでなぜやってくる!  か!隠さなくては!  勢いよく引き戸が開く。 「いるー?!」  居ようが居まいがおれはオペレーション49010110の最中だ、お前などに関わっている暇はない! 「せっかくのお休みだしさ… なによその顔。あ、なんか隠しているわね?」  ど、どうしてそれを!オペレーション49010110を隠匿するため一気にほおばってしまったのがまずかったのか?若干だが不自然に膨らんだ頬がまずかったのか? 「返事くらいしたらどうなのよ。」  口いっぱいにバウムクーヘンを含んでいるんだ、何も言えるわけないだろう。たとえしっとりとしたプレミアムバウムクーヘンでも口いっぱいにほおばればそこの水分を奪われないわけがない!こっそり喉に流し込むこともできやしない! 「さては… なんか食べてるでしょう!よく見たら口になんかついてるじゃない!」  駄目だ!残りを見せる訳にはいかない。全部取り上げられてしまう! 俺は必死で首を振った。 「なんで口開けないのよ!何食べてるのよ!」  おわ!顔を掴むな!口を開けようとするな!鼻をつまむな! い、息ができん・・・!! 「そっちがその気なら!」  次の瞬間こいつは信じられない巧みさで俺をくすぐり始めた。 やめろばか!ぐー!ぐーっ! 「いい加減に口を開けなさい!」  お前は馬鹿か!物食ってるやつの口の中覗いて何が楽しいんだ!汚いだけだろ! そんな事などお構いなしに好奇心に取り付かれたこいつは容赦なく俺を責め立てる。  爆発しそうな口を必死でつなぎ止めつつ彼女の両腕を払うが通常ならいざ知らず、呼吸がままならない状態で口の爆発を阻止しながらまともな防御ができる訳がない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!