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退所
一保での生活も1か月が過ぎた頃、児童相談所の職員に呼ばれ近隣にある児童養護施設の職員と面談を行う事になった。60代くらいの女性施設長と中年の男性職員の2名が面談へ来た。施設内の話や少年の身の上話を1時間程話した。
後日、児童養護施設への送致が決定したと職員から告げられた。
「希望は養育里親で出していた筈だが」と職員に問うと
「希望は必ず叶うわけじゃない」と一蹴された。
少年は自分の生き方を決められない現状に悔しさを覚えながら、社会への疑念を抱いた。
一保の生活はストレスの溜まる事が多かったが、いざ娑婆の空気を吸える事が決まるとそれはそれで寂しさを覚えている自分がいることに少年は気付いた。そんな想いを胸に少年は児童相談所の公用車に乗せられ児童養護施設へと赴いた。
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