「妹の告白」

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「妹の告白」

お姉ちゃんは 必ず ドアを3回叩く。 それが帰ってきた合図。 「ただいま。」 仕事で疲れているはずなのに 優しい声で 私を思い切り抱きしめてくれる。 だから私も思い切り飛び込んでいく。 温かい 温かいけれど  どこか冷たい。 「今日は何のお勉強してきたの?」 パジャマに着替えながら 聞いてくる。 その質問がとっても楽しみで ひっきりなしに  話してしまう。 少し  嘘を加えながら。 お姉ちゃんは ニコニコしながら 聴いてくれた。 その微笑みは私にとって 温かい 温かいけれど  どこか近寄りがたい。 お姉ちゃんは 私の好物を よく知っていた。 かわいいフリルであしらえた 輝くその甘味 私は夢中にかぶりつく。 夕飯の皿を洗いながら お姉ちゃんは私を見つめている。 その視線は私にとって 温かい 温かいけれど  どこか苦い。 「ほらほら もう寝るよー。」 その言葉に 私は少々だだをこねてみる。 布団を泳ぐ私を捕まえ お仕置きとばかりに横腹を刺激する。 絶妙な感触と共に いたずらな笑顔がのぞく。 その顔は私にとって 温かい 温かいけれど  どこか恐怖。
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