桶狭間

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それを見ると信久は勝幡に戻る。 その道中に前田家に食べ物を届けてやるのであった。 「山根様…なんとお礼を…」 「構いませんよ、その代わりに晴の話し相手になってくださらんか? なかなか相手してやれなくて…」 「そのようなことでよければいくらでも。」 と言うと頭を下げた。 「頭を上げてくだされ。」 「いえ利家様の命を救ってくだされたと伺っております。」 と涙を流していた。 「又左にはもったいない奥方であるな。 まったくこのような奥方を泣かせるとは。 ゆるせんわ。」 まつのもとを後にして勝幡城へと戻るのであった。
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