桶狭間

12/15
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
雨に紛れて今川本陣へと忍び寄る信長。 雨が止み、空が青く輝いていた。 信長は槍を取り天に掲げて。 「今こそ勝負の時ぞ。 目指すは義元が首のみ。 他には目をくれるな! かかれ!」 と叫ぶ。 織田軍は突撃した。 不意を突かれた今川方は崩れ始めたのである。 信久は、周りを見ながら幸隆を呼んだ。 「幸隆、時を見て大高へと兵を向ける。 頼綱、ともに来い。 利家殿、我が隊をお任せ致す。」 「な、何? 陣借りの身の俺にそんな事を任せて大丈夫か。」 「幸隆が補佐につく。」 「任されよう。」 と利家。 「何ゆえに大高へ。」 と幸隆が聞いてきた。 「佐久間様が敵をとらんがためよ。」 「市助、段蔵に伝えよ。 この戦況を敵方に悟られぬように致せとな。」 「は、お任せを。」 と言うとスっと姿を消した。 義元は慌てていた。 「な、なにが起きておるのじゃ。」 「は、織田に横槍を入れられ混乱が生じておりまする。」 「体勢を立て直す、沓掛まで退くぞ。」 義元は、一時撤退を余儀なくされたのである。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!