桶狭間

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義元が討ち取られた頃、大高城の松平元康は違っていた。 「何やら雲行きが怪しい…誰ぞ田楽狭間の様子を見て参れ。 事に寄っては、岡崎を取り戻す!」 様子見を命じた兵がいくら待っても戻っては来なかった。 その事で察してた元康は、全軍に撤退を命じた。 この情報は、信久のもとへ届いていた。 「さすがだな、仕方ない。 我らは鳴海城へと進軍する。」 鳴海城に押し掛ける周辺集落の民たち。 そう段蔵の手の者である。 守備につくのは岡部元信である。 「殿が討ち死にだと… 民は何故ここへ…」 「わかりませぬが、手には武器を…」 次の瞬間、民は今川兵に襲いかかった。 城内はまさに地獄絵図と化していた。 その中でも元信は、奮戦していた。 (くっ… 数が多すぎる…) 「敵将とお見受け致す。」 元信の前に姿を見せる信久。 「如何にも。 貴殿は名のある将と見受ける。」 と言うと槍を握る手に力が宿るのを見て取れた。
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