51人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
義元が討ち取られた頃、大高城の松平元康は違っていた。
「何やら雲行きが怪しい…誰ぞ田楽狭間の様子を見て参れ。
事に寄っては、岡崎を取り戻す!」
様子見を命じた兵がいくら待っても戻っては来なかった。
その事で察してた元康は、全軍に撤退を命じた。
この情報は、信久のもとへ届いていた。
「さすがだな、仕方ない。
我らは鳴海城へと進軍する。」
鳴海城に押し掛ける周辺集落の民たち。
そう段蔵の手の者である。
守備につくのは岡部元信である。
「殿が討ち死にだと…
民は何故ここへ…」
「わかりませぬが、手には武器を…」
次の瞬間、民は今川兵に襲いかかった。
城内はまさに地獄絵図と化していた。
その中でも元信は、奮戦していた。
(くっ… 数が多すぎる…)
「敵将とお見受け致す。」
元信の前に姿を見せる信久。
「如何にも。
貴殿は名のある将と見受ける。」
と言うと槍を握る手に力が宿るのを見て取れた。
最初のコメントを投稿しよう!