アンナのサブオフィス

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アンナのサブオフィス

退院しても相変わらず記憶が戻らないキティーは、 「暇してるんなら、仕事しない?」 と誘われ、アンナの仕事場に出勤していた。 雨季も終わり、自然と気分も晴れやかになってくる。 窓から太陽の光が差し込む明るいオフィスは 居心地がいい。 室内は画用紙に鉛筆を滑らす音しか聞こえない。 今はこの空間が、心地いい。 ヒールの靴音が近づいて来る。 アンナがその画用紙をのぞき込む。 「キティ―。このデザイン、いい感じ」 「ありがとうございます」 その時、ノックの音がする。 「どうぞ」 秘書が顔を出す。 「いいわよ。入りなさいな」 だが秘書は入ってこない。 「えっと…。コーヒーを取ってきます」 「あ?そう?」 キティ―は席を立った。
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