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アンナは言葉を選びつつ、話し始めた。
「通称ケニー。この国でモデル・俳優・歌手を
されていたんですね。最初に会った時に、
整った顔をされているなぁと思って…失礼。脱線
しましたね。ご子息で合ってますか?」
「…はい」
父は力なく笑う。
「今のところですが…本人は自分が元芸能人であり、
その……」
「婚約者が男性だったことですよね」
「…はい」
「この国では違法ではありません」
「それは知っています。私の母国でもありますから」
勢いよく否定したアンナに父親は安堵の表情を浮かべる。
「先ほど申し上げた通り、その部分がすっぽり抜け落ちた状態です。
ご自身は普通の大学生だったと思っていらっしゃる
ようです。なのでマスコミ関連のものは今、ご本人から
遠ざけている状態です」
「痛み入ります」
深々と父親は頭を下げた。
「ですから、ご両親のことは大丈夫かと。ご子息の荷物は
私どもが保管しています。あとでお返しします」
その言葉を聞き、ケニーの両親は再度頭を下げた。
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