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ケニーの家(1年後)
アラームが鳴る。
ケニーは、スマホに手を伸ばす。
家の中は散らかり放題だ。
以前の自分ならあり得ない状況だ。
つい溜息が出る。
「アンディが見たら、心配するよな」
独りごちる。ベッドからえいや!と置き上がる。
「シャワー、浴びよ」
朝のカフェオレを飲んでいると、スマホが鳴る。
定例のアンディからのテレビ電話だ。ケニーが
不安にならないよう1年以上続いている。
あともう少しの我慢だ。
「おはよ」
「シャワー、浴びたてか?」
「うん」
「髪、乾かせよ。風邪、ひくぞ。歌手は喉が命だろ?」
「うん」
最近のケニーは俳優というより、歌手としての活動に
重きを置いていた。勿論オファーがくれば、俳優もやる。
忙しい方が、ケニーにとっては精神衛生上いい。
ケニーは、傍に置いていたタオルを取った。
スマホを何気に置いた時、部屋の様子が映ったらしい。
「どうした?その部屋。忙しいのか?」
「うん。…ま、ね」
「程々にしろよ」
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