霹靂

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霹靂

不幸は突然やってくる。 最近アンディから定例の電話が、鳴らない。 ケニーは嫌な予感がしたけど、待つことにした。 レポートとか忙しいのかもとか… 帰国までもう少しだしとか…と自分を落ち着かせていた。 そんなことが、少し続いた。 さすがに周囲にバレる程、自分は落ちていたらしい。 「まさか…、心変わりしたの?」 そう思い始めると、不安が止まらないのだ。 今、この国は雨季だ。 雨季は蒸し蒸しするし、やまない雨に気分が滅入る。 しかも今のケニーには留学前にもらった指輪を、 眺めるしかできない。 だって本人に会って、確かめられない。 そんなある日。待ちに待ったアンディからのラインが、 なぜか夜に届いた。 「珍しいな、ラインなんて」 それはケニーの嫌な予感が、的中したものだった。 「ごめん。もう俺を待たないで」 慌てて、ケニーはラインする。 「どういうコト?」 「こっちで好きな人ができて、一緒にいたいんだ」 ケニーは驚きのあまり、スマホを落とした。 ラインで文字を打つなんて、まどろっこしいことはできない。 電話に変える。 「もしもし?」 でも出てくれない、ってか…。 「着信拒否?どういうこと?ねぇ、せめて声で聞かせてよ」 涙があふれて止まらない。 何度か震える指でタップしたが、結果は同じだった。
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