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病室
周囲が白い。
「どこ…?」
彼は瞳を開いた。
「よかった」
きれいな女性が自分の手を握り締めている。
「えっと…?」
「ごめんなさい。でもあなたも悪いのよ?」
大きな瞳が目の前に近づいてきてから、顎を引いた。
「あなた、名前は?それより先にドクターよね」
その女性は枕元のナースコールを鳴らす。
すぐにドクターを来て、診察をしてくれた。
「ひどい風邪です。それにあなた、きちんと食事を摂ってましたか?」
「さぁ?わかりません」
「さぁ?って…」
ドクターは何かを察したらしい。
「ご自分の名前はわかりますか?」
「名前…?」
「そうです」
いくら考えてみても、わからない。
力なく首を振った。
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